18/12/2023
「職人さんとの夏」
檜 きみこ
最高に暑かった七月、家のリフォームが終わった。
たくさんの職人さんたちにお世話になった。大工、
塗装、左官、瓦屋、内装屋、樋を扱う板金屋、解体屋、水道工事の設備屋、電気屋、足場屋。みな個性的な職人さんたちで、その個性的な職人さんたちを仕切るのは女性現場監督のノリコさん。
職人さんたちの何人かを取りあげたい。まずは壁や床にクロスを貼る内装屋のカトウさん。初対面から不愛想でぱっと見は兄ちゃん風。ノリコさんが指示を出しても、自分が納得できないと「わかんないっす」と返す。「だいじょうぶ。愛想は悪いけど、腕はいいから。やってくれます」と私にささやくノリコさん。その言葉通り、足りない壁紙の柄合わせを苦心して見事貼ってくれた。なかなかやってくれない難しい仕事だったようだ。しだいに話すようになり、志村けんと同じ出身地だとわかった。めっちゃいい人っす。
大工のサトウさん。小顔でスタイルよく、最新の機械を使いこなす。いつも笑顔で大きな声で笑う。
ある日作業が終わった後、結構話した。四つ年下の
彼女がいて、何回かは向こうの親に会ったらしい。
「でも、どうですかね、大工って。安定してないし」「サトウさんなら、だいじょうぶ」などと、太鼓判を押す私。「なんか、いっぱい話したね」と言う私に「でも、こういうのが大事なんですよね」。コミュニケーション能力が素晴らしい。今日で最後という日、「また、なんかあったら来てね」と私が言うと「なんかなくても来ていいですか?」などと言う。この人と結婚したら家庭はきっと明るいだろう。
塗装屋のアイザワさんはちょっとクール。永瀬廉に似たかっこよさだ。刷毛やローラーで静かに黙々と一人で作業する。炎天下、昼ご飯も食べずに仕事をするので、熱中症にならないか母のように勝手に心配した。そんなアイザワさんの弱点は、毛虫だった。毛虫が出てきた時には「うわっ!」と声を上げた。そんなアイザワさんの前で私は割りばしでつまんで退治してあげた。ギョッとしたかな?、若い職人さんばかりを取り上げてしまったが、下町育ちの気さくで優しいベテラン棟梁、地下足袋とニッカポッカスタイルの足場解体のシゲさん、隣の家との外壁のすきまを手と足で突っ張って、サスケのようにサッサと登っていった屋根屋、泥だらけになって床下をホフク前進してくれた水道屋、壊す仕事なのに柔らかで丁寧な二人組の解体屋
・・・みんなその道のプロだった。
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