30/08/2025
南三陸自伐型林業協会コンプライアンス研修挨拶
皆さま、本日は「南三陸自伐型林業協会コンプライアンス研修」にご参加いただき、誠にありがとうございます。
東日本大震災から十五年目の年度を迎えました。震災は、東日本の広範囲の地域社会に深い傷跡を残しました。
とりわけ大川小学校の津波被災事件は、教育機関に託された多くの児童の命が犠牲となった痛ましい出来事です。長期間の調査・交渉・裁判闘争を経て、仙台高裁の勝訴が7年目に確定し、『組織的過失』が判例として認められました。判例は過去を区切るものではなく、未来に向けた価値判断の拘束力を持ち、行動指針としての新たな出発点でもあります。
私たち自伐型林業家は、ひとりひとりが経営者であり、現場の実践者です。日々の判断と行動がそのまま安全や地域社会への信頼に結びつきます。だからこそ、他の組織で起きた悲劇を「他所の出来事」として片づけるのではなく、「自らの現場で起こり得ること」として受け止め、責任ある行動へと変えていくことが求められます。
本日の研修では、ドキュメンタリー映画『生きる』を鑑賞し、その後、大川小学校津波被災事件代理人を務められた吉岡和弘弁護士よりご講演をいただきます。この学びを、単なる記憶や感情にとどめず、自らの実務に反映させ、未来の社会をより強く、より安全にしていく無形の価値を高める機会としたいと考えております。
自伐型林業とは、林業の経営を長期間委託されるスタイルであり、未来に向けて森を開いていく橋本光治氏によって普及されている林業です。
南三陸自伐型林業協会は、持続可能性を高めた林業を通じて、社会全体の持続可能性を引き上げ、災害に強いまちづくりに寄与する人材を育成することを使命としています。それは抽象的な「地域の誇り」を掲げて満足することではなく、私たち自身が自ら関わる社会を責任を持って支えていくという行動を伴う姿勢に基づいています。皆様の中で山林の管理を相談したい方がいらっしゃいましたら協会へご相談ください。
最後に、本日のご講演をお引き受けくださった吉岡和弘弁護士に、心より御礼を申し上げます。そして、お忙しい中この場にお集まりいただいた皆さま、またこれまでご縁を繋ぎ、伝承と普及にご尽力頂きました山内昌彦様をはじめとする全ての関係者に、深く感謝を申し上げます。
皆さまとのご縁を大切にしながら、共に未来を支える歩みを進めてまいりたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
令和7年8月30日
南三陸自伐型林業協会 会長 渡辺啓